ギリシャ・テッサロニキで開催されたRiverflow2026に参加しました
2026年6月30~7月3日にかけてギリシャのテッサロニキで開催されたRiverflow2026に井上隆助教とD1の伊東が参加してきました.
Riverflowは2年に1度開催される水理学・河川工学分野の学会であり,主に流れ,物質・土砂輸送,それらが水理構造物へ与える影響や両者の関係性,また流れ・土砂輸送に伴う地形変化をテーマに発表や議論が行われます.
今年は 16th International Symposium on River Sedimentation (ISRS)も併せて開催されたということもあり,発表件数も多くとても充実した学会でした.
学会に先立つ3日間では流量観測に関するワークショップである8th IAHR/WMO/IAHS International Stream Gauging Courseが開催されました.自分自身の研究内容とも関連が深く,流量観測にも興味があったため,一足早く現地入りして参加しました.
初日には様々な流量観測方法(流速・水深の計測手法)やH-Q曲線などの流量観測に関する基礎的な内容を学び,2日目には実際に現地河川に行って1日目で紹介された計測方法を使って流量を推定しました.また,3日目にはデータを扱う上で重要な不確実性(uncertainty)の扱い方(ここでは主にH-Q曲線に焦点を当てて議論されていました),2日目に行われた種々の計測方法による流量推定結果の比較,さらには様々なアプリケーションについて紹介を受けました.
現地河川での流量観測ではADCPによる計測の様子や計測データを初めて実際に経験また見ることができたので,とても良い経験になりました.また,純粋に海外の河川(それもかなり水面が波立ち,急勾配の上流域と思われる)に入れただけでも嬉しかったです.
その他に印象に残っているのが,流量観測で扱った計測方法として紹介されたフランスのINRAEのグループが開発した「Streamgauging rulers」です.この手法では,その名のとおり定規(ruler)のみを用いて、流量推定に必要な流速と水深を計測します.
具体的には,下の画像のように流れに対して垂直にrulerを立てて,そこで生まれるヘッド差(速度水頭)から流速を算出し,水深を計測することで各計測点での流量を算出し,横断方向において複数点で計測して断面での流量を算出します.
定規の長さや,人が実際に河川へ入って計測する必要があることから,適用できるのは低流量時に限られます.しかし,計測機器が安価で丈夫であることに加え,学部レベルの流体力学・水理学の知識で原理を理解できる点が非常に魅力的でした.価格も2~3万円程度とのことで,研究室にも1台導入したいと思うほど興味深い計測手法でした.
他の国の研究者ともワークショップ内やランチなどで様々なことを議論または会話し交流を深めることができました.
また,井上助教は学会前日に開催されたMaster Classes & Short Coursesに参加しました.これは,さまざまなトピックごとにワークショップが設けられ,各分野の専門家による講義や参加者との議論が行われるプログラムです.
それぞれの発表は,井上助教が学会1日目,自分が2日目に行いました.どちらも口頭発表であり,自分にとっては初めての国際学会での口頭発表だったため,緊張しながら臨みました.
発表は予定時間内に終えることができました.質疑応答では,自分自身も研究課題として認識していた点について質問をいただき,今後その課題を解明していく必要性を改めて実感しました.
学会ではカンファレンスディナーや日本から参加していたいくつかの大学や研究機関との夕食などを通して交流や仲を深めることができました.またギリシャ料理はどれも美味しく,また行ってみたい国の一つになりました.(財布はかなり軽くなってしまいましたが….)
また自分にとって前回の国際学会が2年前にワシントンで行われたAGUで,その際に飛行機に乗り遅れるという失態を犯した過去があるので,個人的には今回はそのリベンジ(?)となる国際学会でもあり,移動手段(主に飛行機)には敏感かつ用心深く行動するようにしていました.
おかげで,無事にすべてのフライトに余裕をもって乗ることができ(当然ですが),学会に参加またはそこで得られた知識や経験と同じくらい,それらへの安堵や喜びを感じていました笑
今回のRiverflow では前回のAGUの時には持っていなかった主体的に行動すること,他分野の研究に積極的に興味を持つこと,そして研究コミュニティに参加することなど,自分自身で考えて動くことのできた学会でもあったかなと思います.研究へのモチベーションが一段と上がった学会だったので,今回得られた経験を今後の研究に生かし,次回の学会でもより良い研究発表や活発な情報交換ができるよう,研究に励んでいきたいと思います.
文責:伊東














