広島大学大学院 先進理工系科学研究科(工学系)
社会基盤環境工学プログラム
水工学研究室

ワシントンD.Cで行われたAGU24 Fall Meetingに参加しました

2024年12月9日~13日にアメリカ・ワシントンD.Cで行われた「AGU24 Fall Meeting」にM1の伊東,松村,高瀬が参加しました.

AGUはAmerican Geophysical Unionのそれぞれの頭文字を取った略称で,地球科学から宇宙科学まで幅広く研究を支援しているアメリカ最大規模の学術組織です.

今回は世界中から3万人以上が参加したらしく,科学分野全般を扱った学会ということもあり日本で行われる国内学会との規模の違いを実感しました.

 

 

 

参加した学生3人とも初めての国際学会で,それと同時に初海外でもありました.そのため事前にみっちりと3人で計画を立てて現地の情報を頭に叩き込んでいたのですが,やはり「初めて」のことは思い通りにはいきません.そもそもワシントンへは一度日本からニューヨークへ行き,ニューヨークの空港で一夜を明かした後,翌朝の便でワシントンへ行くというスケジュールでした.空港泊(ターミナル内で待つ)を誰も経験したことがなかったということもあり,ニューヨークの空港ではフロア全体が見渡せるところで休み,翌朝はフライトの2時間前から動けば十分だと踏んでいました.

 

そして翌朝,出発時刻の3,4時間前に起き(よく寝れたのかどうかはさだかではないが)荷物を預けて保安検査場を進んでいると,突然目の前で機械トラブルが発生しモタつくことに… その時,起きてから初めて時計を見ると,フライトの50分前で思ってた以上に時間がたっていたことに気づき一気に焦り始めました.なんとか保安検査場を通過し,時計に目をやると時計の針はチケットの時間の20~30分前を指していました.さらに追い打ちをかけるかのように搭乗ゲートが直前に変更されメインから一番遠いところになったことで3人とも全力疾走し,何とかゲートに辿り着きました.時計を見るとチケットの時間の10分前くらいで,なんとか間に合った!と安心し搭乗ゲートを通過しようとすると,なんとスタッフが通過するのを全力で阻止してきたのです.僕たちも前日の疲れと阻止された動揺で初めはハテナだったのですが,よくよく話を聞いてみると,チケットに大きく書いてあるのは「フライトの離陸時間」で下の方に小さく書いてあるのが「搭乗時間(締め切り?)」だったのです.前日,搭乗時間に高を括っていたことを大反省…

無事(?)にフライトを逃し,さらにその日はワシントン行きのフライトはすべて満席で翌日のフライトしか予約できないとスタッフから言われ一同パニックに… 先生に事情を伝えるために連絡を取りながら,傍らで日本にいる先輩と留学生に電話をしてなんとか気を休めました.

どうにかその日中にワシントンへ行く手段が他にないものかと思い探していると(半ばもうあの冷たいフローリングの上で一夜を明かすのは無理だと思い),ニューヨークーワシントンをつなぐ高速バスがあることを見つけ,高速バスを予約してワシントンへ行くこととしました.(これがのちに悲劇を生むことは知る由もありませんでした…)

 

         

 

ワシントンに着いて,無事に宿泊先にもチェックインできて一安心し眠りにつきました.….が,3日目の朝,高瀬から「飛行機のチケットがすべて飛んだ」と伝えられ,一同頭が真っ白に.というのも国内・国際線に限らず往復チケットだと常識らしいのですが,一区間でも乗り飛ばすと他の区間がすべて無効になるらしく,それを誰も知りませんでした.その後,研究室のShu Kaiの叔母さんがワシントンに住んでおり朝食を届けに来てくれたついでに,航空会社に電話をしてくれたのですが,残念ながらその甲斐もなくチケットが戻ることはなく再予約することになりました.

その日のお昼はShu Kaiの叔母さんと一緒にお昼ご飯を食べました.Shu Kaiの叔母さん,ごちそうさまでした!

 

 

 

前段が長くなりましたが,学会の方はというと最初に言ったように規模が非常に大きく,見るものすべてが新鮮で会場の空気感に圧倒されていました.3人とも形式はポスター発表で松村と高瀬は学会3日目,自分は最終日だったので落ち着いて臨めたので良かったです.松村は「Study on the Spatial Distribution of Plastic on Alluvial Bars」,高瀬は「Experimental study of the relationship between waterfall shape and migration rate」,自分は「Can Water Depth and Flow Velocity be Predicted from Water Surface Fluctuations?」というタイトルで発表しました.

 

  

 

それぞれポスター発表という口頭発表にはない難しさを感じながら発表を行い,反省点や課題はあったものの楽しく世界中の研究者と議論でき良い経験にもなりとても良かったと思います.

またAGUには「OSPA」というものがあり,個人的にはとても良いシステムだなと感じました.OSPAは学生同士でそれぞれが投稿したオンラインポスターを評価しあうというものです.今までに自分が他人の発表を評価するということがなかったので,とても良い経験になりました.

 

また今回の学会会場があるワシントンについては,アメリカの中でも特に物価が高い街らしく,さらに円安の影響もあり食事のたびにその二重苦を痛感しました.当時は日本円では計算しなかったのですが,クレカ明細などの換算された金額を見ると背筋が凍りました.一方でワシントンはスミソニアン博物館群をはじめとした無料で入れる博物館,美術館が多く存在し,さらに1つ1つが非常に大きいことからじっくり見て回るだけでも1週間くらいはかかるのではないかと思います.

 

  

 

 

初めての海外学会で前例のないトラブルを引き起こしてしまい,必ずしも順調だったとは言い切れないものの,それはそれで良い経験にもなったと思います.今後海外へ行く際には何かトラブルがあっても「一旦冷静に,予定を簡単に変えない」ことを合言葉に行動しようと思います.