広島大学大学院 先進理工系科学研究科(工学系)
社会基盤環境工学プログラム
水工学研究室

IAHR-APD 2026への参加およびKICT河川実験センター(韓国・仁川)への視察

IAHR-APD 2026(韓国・仁川・松島)への参加

2026年7月19日から22日にかけて、内田龍彦教授と水工学研究室の学生であるムハンマド・ファジリン・ワハブ(D2)およびフランツ・サントス(D1)が、韓国・仁川で開催された 25th Congress of International Association for Hydro-Environment Engineering and Research – Asia Pacific Division (IAHR-APD 2026) に参加しました。

IAHR-APDは、アジア太平洋地域の研究者、技術者が一堂に会し、水理学、水資源、河川工学、水環境科学における最新動向や知見を広める国際研究会議です。

今年のIAHR-APDは、韓国・仁川の松島(松島国際ビジネス地区)で開催されました。この会場は、埋め立て地に開発された近代的なウォーターフロントのスマートシティであり、現代的な建築様式や緑豊かな都市空間、そしてビジネス、研究、国際イベントの拠点としての役割で知られています。

今回が私たちにとって博士課程の学生として初めての国際会議だったため、水理学や河川工学の分野の研究者や専門家たちの前で研究発表を行うことになり、ワクワクする気持ちと緊張が入り混じっていました。

内田教授は、「自然を活用した洪水管理のための学際的研究と実施戦略」という特別セッションのテーマのもとで講演を行いました。これらの基調講演や特別セッション、そして特に私たちの研究に関連する発表を聞くことで、さらにやる気とアイデアを得て、本当に全力を尽くそうという意欲が高まりました!

研究発表の合間には、ポスターセッションや展示ブースもあり、私たちはそれらを訪れ、流体力学分野の著名な研究者たちと交流しました。また、新しい人脈を作り、ネットワークを築き、将来的な共同研究の可能性を育むという点でも、研究学会に参加することの価値を実感することができました。

                              

私たちは学会の最終日に、二人とも口頭発表を行いました。国際会議への参加も発表も初めてだったため、緊張していました。さらに、セッション会場に多くの著名な専門家が次々と入ってくるのを見て、興奮する一方で、緊張もさらに高まりました。

 

私たち二人は、与えられた時間内に発表を終えることができ、質疑応答では、数値モデリングの結果に関する質問がいくつか寄せられました。初めての経験だったため、最初は少し戸惑いましたが、幸いにも質問の内容を整理して、きちんと答えることができました。この経験を今後の学会でも活かして、研究にさらに力を入れていきたいと思っています!

河川の現地視察

スンギ川(Seunggi-cheon、仁川)

最初に訪れたのは、仁川市のヨンス区とナムドン区の間を流れ、ナムドン遊水地を経てソンド干潟へ注ぐ都市河川、スンギ川です。
スンギ川は全長約6.20 km、流域面積33.58 km²、川幅約80 mの河川です。河道は複断面となっており、広い高水敷にはジョギングコースが整備されています。また、河岸と高水敷には植生が密に繁茂しています。

前日の大雨によって水位が急激に上昇していました。私たちが到着した時には、流れはすでに高水敷全体に広がり、ジョギングコースと歩道橋が水没していました。

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漢江(ハンガン、ソウル)

次に訪れたのは、韓国有数の大河川である漢江です。漢江はソウル中心部を流れ、金浦(キンポ)付近を経て黄海へ注いでいます。全長は約515 km、流域面積は26,018 km²です。
視察時の漢江は流量が多い状態でした。漢江の水位は上流からの流量だけで決まるものではありません。金浦から河口へ向かう区間では、

下流に進むにつれて潮汐の影響が大きくなるためです。水辺に設置されている標識は、満潮時に水位が上昇する可能性について、利用者に注意を促すものでした。

KICT河川実験センター訪問

IAHR-APD 2026への参加後、韓国建設技術研究院(KICT)の韓国人共同研究者の方々とともに、KICTの河川実験センター(River Experiment Center:REC)を訪問し、研究打合せと施設見学を行いました。

河川実験センターは、慶尚北道安東市に位置し、学会会場から車で約4時間の場所にあります。同センターは世界最大級の屋外河川実験施設の一つであり、「自然と人間が共生する河川の実現」を理念として掲げています。

小規模な屋内実験水路ではなく、実河川に近いスケールの屋外実験水路が整備されていることが大きな特徴です。施設内には、直線・複断面水路、蛇行水路、急勾配水路のほか、調整池、排水実験施設、炭素固定実験区があります。これらの施設は大規模なポンプ場によって給水されており、敷地内には実験機器室を備えた研究棟も設置されています。

ポンプ場と排水実験施設

ポンプ場は河川実験センターの中核となる設備です。3台の大型ポンプを備え、合計で約10 m³/s(10,000 L/s)の流量を供給できます。これにより、実河川に近いスケールで各実験水路を運用できます。

別の実験エリアには、マンホールや圧力センサーを備えた実物大の都市排水ネットワークが再現されており、排水性能や洪水時の応答に関する実験が行われています。

                                         

直線水路および複断面実験水路

直線水路は非常に長く、複数の実験を同時に実施することができます。

水路の中流部では、移動床上に設置した植生群周辺の流れを対象として、複数の植生配置を用いた実験が行われていました。下流部は複断面水路の実験にも利用できます。現在、Franzも、この施設を用いて数値モデルの検証を行っています。

  

蛇行水路、調整池および炭素固定実験

蛇行水路は、複数の湾曲部を連続して配置することにより、自然河川に近い平面形状を再現しています。水路の下流側は調整池実験区につながっており、同一の水理条件下で、異なる捨石工や植生処理の効果を比較できます。
敷地の一部は炭素固定に関する実験にも使用されています。計測機器を設置した複数の実験区画において、土壌に固定された炭素量や各区画の植生量が計測されています。

                     

韓国での体験

韓国滞在中、有名な韓国風フライドチキンや伝統的な韓国バーベキューを味わうことで、韓国料理を体験する機会を得ました。韓国のユニークな食文化を実感し、人気のある料理の数々を楽しむことができた、忘れられない体験でした。

河川観測に向かう途中、街を散策し、韓国における開発と自然の調和を堪能することもできました。全体として、私たち二人にとって忘れられない経験となりました。またIAHR-APDのような国際会議に参加できるよう、今後も研究に最善を尽くしていくつもりです!

執筆:
Muhammad Fajrin Wahab and Franz Santos